水面に映るもの

ガラスのようにつるっと見える水面。柔らかい日差し。涼しげでシャープな尾根の雪。
どこに不安や不満があるのか。
こんな日でもアンヌは機嫌が悪い。彼女のお昼寝を邪魔するものは何もないのに。何もないことの贅沢がわかるにはまだ子どもなのかも知れない。
栗色の髪の彼女以外と話すこともない私は満足なのだが。日々変わりゆくアルプスの遠景や運河の穏やかな流れ、これだけで十分だと。
しかし今日も彼女に引かれて散歩、 アンヌのママさんと呼ばれて世の中に関わる。

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