ベルベット・モーテル
ビロードのように滑らかな夜だった。
運命の歯車が少しずつ噛み合い、最後は大きな幸せとなった。
始まりはホテルのエントランス。クルマを止めるとドアマンの先に彼女が見えた。
7年ぶりの彼女は地面に顔を擦りつけるようにしながら、何かを探している。
声を掛け、コンタクトレンズを一緒に探す。ほどなく見つかり、コーヒーハウスで少し話す。
本来は今夜のフライトで東京に戻る予定だったのだが、変更となり急遽のショートトリップに。お目当てのホテルに断られ、やむなく隣町のホテルに予約をとったのが1時間前。7年前の気まずい別れの夜から9700kmも離れたこの場所で、ビロードのような肌触りの心地よい時間を過ごす。
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