旅と少年

『少年の日』という歌があった。「蒼い排気ガスがおいしくてオンボロバスを追いかけた」という歌詞に共感していた。少年の8割ぐらいは多分バカで出来ているんだと思う。
時に旅は私を少年に戻す。旅先で古いバスを見かけたりすると無性に追いかけたくなる。もちろん実際にそんなことはしない。旅の後の日常を考えると、そこまで振り切ることは出来ない。
岬をめぐるボンネットバス。青空に散らばる白い雲。日差しは強いが、定期的に吹く海風が心地よい。ガタゴトと体全体を揺らされているうち、次第に気分も高揚してきた。
『ここの排気ガスもうまそうだな』。次のバス停で降りたら、今日の私は少年に戻ってしまうかも知れない。

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