夜のバス

最終列車の終着駅で降りた。目的の宿はこの先の海辺にある。最終バスになんとか間に合った。ふぅ。
夜のバスが海沿いの道をまっすぐ走る。あたりは真っ暗で、ヘッドライトから吐き出された心細げな光はたちまち闇に飲み込まれていく。その様子が面白くて、運転席の後方に立ち、ずっと眺めていた。
闇を切り裂くように、夜のバスは進む。それにつれてからだの中の闇も染み出て、空に溶けていくような感覚を覚える。気持ちが少しずつほぐれていく。
旅の宿まではもうすぐだ。

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